統一QRコード「JPQR」登録するか?しないか?
この1、2年、キャッシュレス決済が「お得」「スピーディ」という面で普及しつつありましたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、「衛生面」でのメリットが注目され普及に拍車が掛かりました。
個人的にはこれまでにも増して、現金を扱うことがなくなり、すでにお財布の中にはカードと領収書、そしてお賽銭用の小銭が僅かにあるだけです。
もし、このブログを読んで下さっている方でキャッシュレス決済の導入に迷っている方がいるとしたら、「今すぐ導入する」と言う選択肢しかないことをお伝えしておきたいと思います。それを踏まえて、読み進めて頂けると幸いです。
キャッシュレス決済 第二幕の幕開け
6月22日から、キャッシュレスの統一QRコード「JPQR」の加盟店募集が本格スタートします。 2019年8月に総務省のモデル事業として先行して岩手県、長野県、栃木県、和歌山県、福岡県の県全域で導入されました。(栃木県は県内統一QRコード)
スタート当初は、主要キャッシュレス決済事業者に限られていましたが、本格始動にあたり参加事業者も増えました。事業者一覧はこちら
atone、au PAY、OKI Pay、UnionPay(銀聯)、J-Coin Pay、d払い、はま Pay、commoney、FamiPay、PayPay、ほくほくPay、Money Tap、メルペイ、ゆうちょ Pay、YOKA!Pay (福岡銀行のみ 対象)、LINE Pay、楽天ペイ 2020 年冬頃 (アプリ決済) 対応予定
そもそも、JPQRが誕生したのはキャッシュレス決済事業者が乱立してしまい、店舗ごとに使用できるアプリを開いて読み込まなければならず、消費者の「数が多すぎる」「わかりにくい」と言う声を受けて、ならば一つにまとめてしまおう、とできたのが「JPQR」です。
どうして真っ先にJPQRを作らなかったのか?
と思うところですが、QRコード決済は2018年、LINE PayやPayPayが広く認知されるようになる前から一部の事業者がサービスを提供していて、同じように見えるQRコードでも規格が異なっていて統一することは容易ではなかったのかもしれません。
決済手数料はどうなってる?
事業者にとって気になるのは、決済手数料。無料のところから高いところでも3.25%と言うのが昨今のキャッシュレス決済の主流です。JPQRの参加決済事業者の決済手数料はこちら
現金商売では発生しない「決済手数料」
飲食店の利益率の平均が4.3%程度、小売業は3.0%と言う状況を考えると決済手数料は高すぎると考える方もいるでしょう。
製造業・・・7.0%
概算の業種別利益率
卸売業・・・2.6%
小売業・・・3.0%
情報通信業(IT系)・・・8.0%
飲食業・・・4.3%
サービス業・・・6.9%
ここで考えて頂きたいのは、決済手数料は「決済」の費用だけではないと言うこと。 昨年10月スタートした最大5%のキャッシュレスポイント還元によって、全国のおよそ150万の店舗や事業者にキャッシュレス決済が導入されていますが、やっぱり現金の方が良いとか、コロナ禍で入金まで待てない、手数料払ってる場合じゃないと、キャッシュレス決済の利用を停止した店舗もちらほら出ているようです。
とは言え、大前提として業種や業態によって導入するのに相応しい決済方法があることは是非、知って頂きたいところです。
キャッシュレス決済導入のメリット
キャッシュレス決済の導入メリットを以下に挙げてみました。
- 釣り銭準備の時短
- 銀行への移動時間
- 銀行との信頼関係構築
- 確実に資金回収できる
- 決済のスピードアップ
- 衛生面の向上
- 経理業務の効率化
- 人手不足の解消
- 戦略的マーケティング
業種業態によって得られるメリットに違いはあるものの、例えば3.25%の決済手数料には、これらの費用も含まれているのです。
一つ掘り下げて解説すると、銀行に関する1,2,3について。
まず、店舗の閉鎖。すでにメガバンクは今後店舗を一定数閉鎖すると発表していますし、一部ではすでに統廃合と言う形でスタートしています。キャッシュレス決済の普及により、今後、店舗やATMの利用頻度は減ってくることが予想されます。さらに、新500円硬貨が2021年に、新紙幣は20204年に市場に出回ります。そうなれば、当然ATMは対応しなければならず、その改修のタイミングに合わせてATMの台数がかなり減ることが予想されます。
これはつまり、お店の売上金を預け入れたり、釣り銭を準備するために銀行に行くのに、これまで徒歩で数分だったところが、車で20〜30分かけて銀行に出向くことになる地域も出てくると言うことです。その時間とガソリン代を試算してみて下さい。決済手数料を超える支出をしていることにはなりませんか?
つまり、決済手数料は少しでも安いに越したことはありませんが、3.25%を高いと考えるのは安易ではないかと考えています。
JPQRの申込み手続きが6月22日スタート
私自身、先行してJPQRの登録をしたのですが、あまり導入のメリットは感じられないと言うのが現時点での感想です。
その理由は、
1.申込みフォームが何枚もあり面倒くささこの上ない
2.申込み手続きを一括してでできるだけ
3.決済事業者の数だけ管理画面が必要となり、それぞれIDやPASSワードの管理が面倒
お客様にとってJPQRは楽かもしれませんが、募集開始の1年前と情勢は大きく変わり、
・すでに主要なキャッシュレス決済が絞られている
・QRコードの利用ユーザーが最も多いPayPayの導入率高い
・PayPayのQRコードは当面対象外でバーコードのみ
そして、非接触型決済のニーズも高まりつつある中で、全ての決済サービスを一元管理ができないことを考えると、煩雑になるだけなのであまりオススメできる状況ではないと感じています。
キャッシュレス決済制度もありすぎて分からない
最後に...
キャッシュレス決済ポイント還元、統一Qコード「JPQR」、キャッシュレスマイナポイント還元とキャッシュレスに関する政府の制度だけで3つもあるので、経営者からすると、何をどうすれば良いのか、どの手続きをしなくてはいけないのか、混乱しているのではないでしょうか。
簡単に3つの制度について、図解してみました。
事業者が何か手続きをしなくてはいけないものは、現時点では「JPQR」だけです。ただ、前述した通り、必ずしも登録しなければならないものではありません。
これからは、6月末でポイント還元が終わるだけでなく、決済事業者によっては決済手数料が値上がりするところがあるので必ず確認しておくこと、そして9月から新たなキャッシュレスポイント還元「マイナポイント」がスタートするので、活用に向けて準備をして頂ければと思います。
弊社では、キャッシュレス決済導入アドバイス、導入サポートはもちろん、セミナー等も受付けておりますので、お気軽にご相談下さい。