ペライチサポーターサミット in 佐賀

サミットのお土産

半年に一度のペライチサポーターサミット、今回はお隣の佐賀県に行って参りました。 5回目にして初の前夜祭参加。JRのチケットは予約していたのにお宿の予約を忘れていたくらいなので、何も前入りして泊まらなくても良かったのですが、今回は前夜祭参加者向けの観光ツアーもあったので参加してきました。

と言うことで、今回もいつものようにサポーターサミットのレポートをまとめておくことにしました。

防災とITと火災保険

武雄市役所

地域の課題をITで解決する、そんなテーマを引っ提げて参加するサミットですが、今回、最も印象に残ったのは、二日目の武雄市役所で伺った佐賀豪雨の話。

印象に残った理由は3つ。
近年、大きな自然災害が毎年各地で起き、その後の話があまり耳に入ってこないと感じていて、災害対策本部で対応していたご本人に直接、状況を伺えたことはとても貴重だと感じたことがひとつ。

写真は、8月28日に発生した佐賀豪雨による風水害の様子について防災課の方から説明をして頂いているところです。

現時点で明らかになっている武雄市の主な被害はこちらの通りです。

死者  3名  
避難  1,067名 ※ほとんどが大雨後の避難
床上浸水  1,025棟  床下浸水  511棟
河川被害額  5.9億円・農林業  19.69億円・商工業 94.5761億円

今年は千葉の台風被害(中小企業被害額305億円)が大きかったために、佐賀豪雨がかき消された形になってしまったとのことでした。隣県の福岡では放送されている番組も同じものが多く、死者が出てしまったことは知っていましたがそれが武雄市と言うより”佐賀”でと言う程度の認識でした。

次にファイナンシャルプランナーとしての視点から。被災された方の中には火災保険に加入している人が必ずしも多くなかったこと、またとても気の毒なことに新築の住まいに引っ越して間も無い時期で被災してしまった方がいたと説明がありました。

損害保険料率算定機構/2018年度火災保険・地震保険の概況よりhttps://www.giroj.or.jp/publication/outline_k/k_2018.pdf

阪神淡路大震災や東日本大震災など大きな地震をきっかけに火災(建物)保険の加入率は高くなっています。地震保険が単独での契約ができないことも影響していると思います。加入率は建物で約7割、家財で5割超と言うデータがあります。持ち家の加入率は高いものの賃貸となると火災(家財)保険加入率は低いのが現状です。

2018年度の西日本豪雨をはじめ自然災害(風水害)の保険金支払額は過去最高の1.6兆円だったのですが、その影響もあり火災保険料は今年10月に値上げされました。千葉での被害額は、最大と言われた昨年の金額をさらに上回ると言われており、火災保険の保険料が今後さらに高くなることは避けられないと言う話を、つい半月ほど前に保険代理店さんと話していたところでした。

個人的には、今後、火災保険はよりリスク区分が細分化され保険料は高くなることは避けられないと考えています。築年数が古く、メンテナンスされていない家や居住者のいない家の保険契約条件が厳しくなったり、ハザードマップの情報が保険料に大きく影響を与えたり、と言う時代がきてもおかしくないのではないかと。そうした場合、さらに加入率が高まるか下がるかは、その後の日本の自然災害の状況に影響を受けるだろうと考えています。

3つめは「情報が住民に行き届かない問題」
現在の一般的な情報発信ツールは、
◆防災無線
設置されているところとそうでないところがあります。日頃からの運用が重要ですが、これまでの災害で防災無線が大雨の音にかき消されて避難情報が届かないという報道がありました。

◆携帯電話に届く緊急速報
大手携帯各社から販売された携帯には緊急速報が届きますが、格安スマホは速報が届かない端末が多く、防災アプリをダウンロードしていない場合は携帯もあてになりません。

◆TVやラジオ
普及率が高いので広く情報を届けることができるものの、深夜、電源をきっている時間帯には情報を届けることができません。

この様に100%カバーできる情報発信ツールはないと言っても良いかもしれません。そのような状況下で「住民が自ら情報をキャッチして行動する」ようになるには、行政の働きかけだけでなく、一人一人の意識改革、自分の命は自分で守ると言う考え方にシフトして行く必要があると強く感じています。因みに今回、武雄市では大雨になる前の8月27日18時に全域避難勧告をしたものの、実際に避難したのは16名だけだったそうです。

ペライチサポーターはそれぞれ得意とする分野に違いはあるものの、基本的にITについて一般の人よりは多くの知識と情報を持っています。ビジネスの現場ではもちろんのこと「情報をキャッチして行動できるように支援」することができるのがまさに全国で活躍するペライチサポーターとも言えますし、そう言う点でもより求められるものが増えて行くポジションにいると考えることもできるのかなと。

多くの地方自治体に情報発信を専業に担当し、行動を起こすところまでサポートできているところは少ないので(はないかと思う)、地域で活躍するサポーターやITに強く、心にゆとりのある方々の支援はより一層求められていることではないかと思います。

勝手な提案

自治体職員にはIT全般に苦手意識を持っている人もいると思いますが、大きな設備投資がなくてもできる住民のITリテラシー向上に向けた実践的な講座の開設を提案したいと思います。

防災に限ったことではなく、国がデジタルトランスフォーメーションを掲げている以上、年齢問わずITリテラシー向上はより良い社会へ繋がる大切な一歩になると考えています。

 

お隣なのに知らない佐賀。観光してきた!

佐賀には仕事で月二で通っていた頃もありましたが、あまりよく知らないと言う現実。今回のサミットでは初めて訪れるところがほとんどで、いやはやお恥ずかしい…

まず、前夜祭ではペライチ会長のご両親が経営する印刷会社佐賀プリンティングさんの見学からの交流会。ペライチスタッフさん、サポーターさん交えての自己紹介ではなんとそれだけで2時間近く要すると言うそれはもう、濃くて盛り上がるコンテンツ。ペライチのプログラムやデザインなどを担当して下さっているはじめましてのスタッフさんのお話も聞けて、楽しくもありがたいひとときはあっという間に終了。

さて、前入り組は佐賀観光。佐賀県立博物館で幕末維新博の映像を30分ほど。そこで紹介された近代日本の実現に貢献した佐賀の七賢人、鍋島直政、島義勇、副島種臣、大木喬任、江頭新兵、大隈重信、そして佐野常民。佐野常民は博愛社、日本赤十字社の創設者で佐野常民記念館もあり、一度訪れたことがありご縁がある御仁。というのも、毎年博愛絵画コンクールが開催されており、子どもが夏休みの課題の一つとして応募して何度か賞を受賞したことがあり少しばかり身近な存在。とは言え、そもそも大隈重信くらいしか知らない有り様は救いようがありませんね。

映像を見た後は、佐賀城本丸歴史館を足早に見学。迷路のような構造に、こうして大将を守っていたんだと思いを馳せたところで、いよいよサポーターサミット本番へと突入。

いざ、有田へ

20年以上前、当時の社員旅行で訪れて以来の有田。深川製磁や酒蔵の見学をしたことはうっすらと覚えているものの、あまり記憶に残っておらず。今回訪れたのは140年の歴史ある香蘭社さん、珍百景にも取り上げられた陶山神社、泉山陶石、柿右衛門窯、アリタセラへ。

有田町長 松尾さん

有田では、有田町長の松尾さんのお話を伺い、有田町のポテンシャルの高さを感じました。また、小学生の頃に町長になると決めていただけあって、立候補した経緯や有田町への想いを聞いて納得しました。と言うのも、アグレッシブな首長さんのいる町はメディアはもちろんのこと、事あるごとに色々なところで名前が出てくるもので、その代表が恐らく福岡市長の高島さんだとは思いますが、昨年あたりから有田町のお噂は聞いていたので、今回、直接お話を聞かせて頂いて、とても熱いものを感じました。

観光を終え松尾町長の話を伺った後は、有田町の課題をITで解決すべくアイデアソンが行われ、グループに分かれてこれでもか、と言うほどたくさんのアイデアが出されました。素晴らしいのはすぐにも動き出しそうなものが提案されたということ。サミット終了後、具体的に動いて行きそうです。

夜は武雄市へ移動して、食事&懇親会これまでのように日付が変わるほど遅くまで飲み明かしたり、語り明かしたりはせずに早めに就寝したのは、翌日の体調も万全で望むことができました。

今さらですが、武雄図書館へ

二日目、まず向かったのは武雄温泉。国指定重要文化財の桜門に登って見てきました、アレを。東京駅がリニューアルした頃に一部で話題となっていた残りの4つの干支。

建築家の辰野金吾氏が設計した武雄温泉楼門と東京駅。東京駅の八角形の角に十二支のうちの八つの干支のレリーフが施されていますが、残りの4つの干支はどうしたのか、どこにあるのか?と言うことで同時期に設計されたと言われる武雄温泉桜門に問い合わせがあったそうです。その時は分からなかった様ですが、桜門の復元作業を行なっていた時に残りの4つの干支が見つかったとか。

ガイドの方のお話を聞く限りでは、桜門の東西南北を示す干支、そして本当は左右にそれぞれ建築される予定だった門に施されるはずだった干支が、東京駅に持って行かれたのではないかと感じたのですが、真実はどうなんでしょうね^^

さて、なかなか行く機会のなかった武雄図書館。入るなりして感じたことは、見せ方が上手いな〜と言うこと。海外の図書館に似ていると紹介されることもありますが、そんな印象を受けました。そして、人が異常に多い。地元の人たちはショッピングモールに行くように、武雄図書館に足を運んでいるのかなと車の渋滞の列を見て感じました。

そして最後に訪れたのは、武雄図書館のすぐ近くにある武雄神社。バスの出発時間まで残されたのは20分程度。猛ダッシュで参拝、ばちあたりかも〜と思いつつも、神社の奥の武雄の大楠まで息を切らしながらいってきました。

樹齢3000年の大楠、しっかり拝んで参りました。残念ながら、ゆっくりその偉大さを満喫することはできなかったけれど、次回は訪れた暁には、しっかりと堪能したいと思います。

最後に

5回目となるサポーターサミット。自腹を切ってまで地方へ足を運ぶのは、いくつか理由があります。
まず、この様な機会でもないと訪れない地であること。どうしても名の知れた観光地へ行きがちですから、知らない土地を訪ねてみたいという好奇心です。

次に、アイデアソン。地域の課題を解決するべく仲間と共にアイデアを出し合う、と言うのは一人で仕事をしている私にとっては通常ではありえない環境。他の方々の考えや発言を聞くことでブラッシュアップになっていますし、地域性と言うものも肌で感じることができます。

そして、素敵なペライチスタッフさんやサポーターさんに会うことが単純に楽しみなんです。それぞれの地域で活躍している様子はFacebookでも十分知ることができますが、直接会って話すからこそのものも多く、半年に一度のサミットは参加しない理由が今のところ見つからないと言う感じ。

もちろん、サミットでの学びや気づきは日常の業務にフィードバックし、半年後、さらに成長してサポーターさん達との再開を誓うと言う、モチベーションの一つになっています。

最後に、今回のサミットの段取りをしてくださった山下定美さん、矢野億子さん、微に入り細に入るおもてなし、本当にありがとうございました。あったかかったです!!
また、有田町の松尾町長、武雄市防災課の犬走さん、武雄図書館マネージャー組谷さん、香蘭社の福田さん、佐賀の魅力をたくさん教えてくださってありがとうございました!!

ペライチの皆さん、通常業務でも十分お忙しいにも関わらず、こんなに大変なサミットを開催して下さりありがとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願い致します!!